HEROに花束を(完)
揺れ動け、恋
先に目を逸らしたのはわたしだった。
すると悠はわたしの両腕の下に手を入れて、軽々とわたしをボードの上に乗せると、自分もすぐに横に並んだ。
悠の重みでボードが揺れる。
足で水を小さくパシャパシャする悠を見て、またいつもの彼に戻ったことがわかってホッとした。
「悠ってさ…今まで彼女とか…いたの?」
自分が傷つくだけなのに聞いてしまうわたしはばかだ。
だけど、恋愛話とかしたことがなかったし、今なら行ける!って思った。
正直すごく気になっていた。
ふわふわしててマイペースだけど、顔は整っているし、運動神経良いし、面白いし、彼女がいないっていう方がおかしい。
悠はゆっくりと振り向くと、わたしの目を見つめた。
「聞いてどうするの?」
わたしは唇を結んだ。
わたしは悠が好きなんだよ?
悠も知ってるでしょ…気になるんだよ。