HEROに花束を(完)
そういえば悠は軽く笑う。
「褒め言葉をどうも。」
そう言われてわたしも小さく笑うけど、心は泣いている。
じゃあ、悠は誰かわたしの知らない女の子にドキドキしたり…したんだね。
キスだって…したんだよね。
思わず泣けてきそうで、自分がこんなにも悠が好きだったことに驚く。
うつむいて、悠の足が水をパシャパシャするのをぼんやりと眺める。
「穂花は?」
そう聞かれて、わたしは悔しくなった。
わたしばかりが初めてで、勝手にドキドキして、バカみたい。
わたしは、いつもノートの中の男の子ばかりを考えてきた。
その子しか味方がいなかったから…