HEROに花束を(完)
「あたり?」
期待を膨らませた表情でわたしを見つめてくる。
わたしが小さく頷くと、彼はよっしゃ、ってガッツポーズをした。
「俺、穂花のこともっと知りてーな。」
悠はふわっと太陽みたいに明るく微笑んだ。
日焼けした肌に白い歯がきらって光る。
まるで子犬みたいな彼は、誰よりも笑顔が似合う。
そのあとは、悠が一方的に話すのを相槌をたまに打ちながら聞いていた。
だって悠はわたしの反応が薄くても全然気にしないんだもん。
ひとしきり喋った後、悠は笑いを落ち着かせながら聞いてきた。
「そういえば、これからどこ行くんだよ?」
「あ…。」
そうだ、買い物。
友達と話してた、なんて言ったらお母さんびっくりするだろうな。
「犬の散歩?」
それもそうだし、
「買い物。」
そう答えると、彼は少し眉を顰めた。