HEROに花束を(完)
「そろそろ、戻ろうか。」
わたしは言う。
「そうだな。」
そう言って悠は水に浸かる。
そして腕を広げる。
「来いよ。」
そんな言い方、ずるいよ。
「怖くねーから。俺、ぜってえお前を離さない。」
それ、彼氏みたいな台詞。
だけど、その時わたしははっと思い出した。
そういえば、ずっと前、わたしがお父さんを見つけて泣いていた時、二人で海に来た。
そして悠は言ったんだ。
わたしを絶対に離さないって。
それって、その時は気づかなかったけど、告白みたいだったんだね。
だけど、それは友達としてってことだったの?
わかんない。
わかんないよ…。