HEROに花束を(完)
葛藤
ザアー、ザアー。
波が引いては押す音が遠くで聞こえてくる。
「っ…ふっ…ぅう。」
自分の泣き声が弱々しく耳に響く。
きっと今頃、悠と美菜ちゃんは楽しくいちゃいちゃしているんだろうな。
別れた理由は知らないけれど、二人はどこからどう見てもお似合いのカップルだ。
わたしの入る隙間なんてない。
「そんな泣いちゃって。」
そんな声が聞こえたけれど、顔を上げるつもりもない。
「そんなに悠のことが好きだった?」
もう蓮さんがいても気にならない。
ただ悔しくて、辛くて、どうでもよくなった。