HEROに花束を(完)
「っ…ぅう…ひっく…ふっ…。」
蓮さんが隣に腰をかけるのがわかった。
「もう穂花ちゃんを怖がらせたりしないよ。本気で悠のことが好きなんだね。」
わたしはただ泣くことしかできない。
ふわっと香るのは香水の匂い。
悠の匂いじゃない。
今までだったら、そばにいてくれたのは悠なのに…。
悠は、美菜ちゃんのものなんだ。
建物に壁をつけて、泣くわたしは惨めだ。
砂が濡れた体にこびりつくのも気にならないほど悔しかった。