HEROに花束を(完)

「俺の言えることはこれくらいしかないよ。」



蓮さんはそう言って立ち上がった。



「おっと、お迎えかな。」



そう言われて顔を上げたのと同時に、悠が駆けてくるのが見えた。



「穂花っ、お前大丈ーっ!」



悠はそう言いかけてわたしの顔を見て目を見開いた。


そしてわたしの隣に何食わぬ顔をして立っている蓮さんを見て、拳を固く握り締めた。



「お前穂花に何したんだよ!」



悠のドスの効いた低い怒鳴り声にわたしは驚いた。



悠は滅多に怒らない。



そんな穏やかな悠が、


今は別人みたいに射抜くような眼差しで蓮さんを睨みつけている。


< 268 / 537 >

この作品をシェア

pagetop