HEROに花束を(完)
「俺の言えることはこれくらいしかないよ。」
蓮さんはそう言って立ち上がった。
「おっと、お迎えかな。」
そう言われて顔を上げたのと同時に、悠が駆けてくるのが見えた。
「穂花っ、お前大丈ーっ!」
悠はそう言いかけてわたしの顔を見て目を見開いた。
そしてわたしの隣に何食わぬ顔をして立っている蓮さんを見て、拳を固く握り締めた。
「お前穂花に何したんだよ!」
悠のドスの効いた低い怒鳴り声にわたしは驚いた。
悠は滅多に怒らない。
そんな穏やかな悠が、
今は別人みたいに射抜くような眼差しで蓮さんを睨みつけている。