HEROに花束を(完)
「そんなの別にいーんだよ。」
悠はそう言ってまた歩き出す。
わたしは急いで悠の隣に並ぶ。
「でも…。」
すると悠は急に止まると、くるっとこっちに向いた。
「俺がお前を遅くまで引き止めてたのが悪い。だから俺がお金を払って、それでイコールの関係ってこと。な?」
「え…。」
「オッケ?」
「う…。」
「あのな、男ってのは、女にお金を出してーもんなんだよ。だからこれでいーの。」
そうなの?
恋愛経験のないわたしにはよくわからない。
「そういうこと。ほら、家どっち?」
「右。」
「レッツゴー。」
なんか、丸くくるめられたような…
はぐらかされたような…
「よしっ。じゃあ、危機感のない穂花のために、俺が危機感講座を開いてあげよう。」
それになんか変な講座はじまってるし…
「んー、そうだな。まずな、穂花みたいな女の子が一人で夜歩いてたら、頭の変なおじさんに連れてかれちゃうんだぞ?」
「変なおじさん?」
「そ。だから、俺が守ってあげねーといけねーの!」
「え…。」
「な、今のなんかカッコよくなかった?」
「…。」
そういうの自分で言っちゃうところ。
そういうところが彼らしいのかもしれない。