HEROに花束を(完)
わたしは悠の頭を優しく撫でた。
柔らかい髪は湿っていて、太陽の光で小枝色になっている。
「穂花っ…。」
「うん。」
「穂花っ…俺、ひでえやつ…っ。」
「そんなことないよ。悠は、すごく良い人だよっ。」
そう言っても、悠はふるふると首を振るばかりだった。
「何があったのかわからないけど、思いっきり泣いてもいいんだよっ?」
わたしはそう言うと、震える声で言った。
「いっつも助けてくれて、ありがとう。」
悠の腕がわたしの腰に回って、ぎゅっと抱きついてきた。
「さっきのは嘘。」
わたしは小さく息を吸った。