HEROに花束を(完)


家に帰ったのはもう遅くなってからだった。


「ねえねえ、今年の花火大会どうするの?」


ソファでくつろぐお姉ちゃんから聞かれてわたしは驚く。

そうか、もうそんな時期か。


「いつもだったら穂花は家族と行ってるけど、今年は、ねえ?」


そう言って意味深に微笑むお姉ちゃんにわたしは固まる。


「悠ちゃん誘った?」

「誘ってないけど…。」

「だめじゃーん。取られちゃうよ、悠ちゃんイケメンだもん。」


そう言われて美菜ちゃんの可愛らしい笑顔が浮かぶ。


本当にわたしは美菜ちゃんと何か変な縁があるのかもしれない。


お父さんを取られたかと思えば、今度は、悠まで…。
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