HEROに花束を(完)
みんなで笑い合いながら教室に足を踏み入れれば、がやがやと生徒が話していて、みんな笑顔で楽しそうだ。
前までだったらそんなことに注目することもなかったし、みんなの笑顔がどれだけ心温かいものなのか知ることもなかったと思う。
「ねーねー!撮影部入りたいって穂花言ってたでしょ!顧問に聞いたらオッケーが出たの!」
そう言って意気込んで話しかけてくるのは前隣の席で仲良くなった古川歩ちゃん。
「えっ、本当に?」
わたしは目を見開く。
実は夏休み中にたまたま駅で遭遇して、その会話をしたのだった。
今までなら駅で誰かに遭遇するなんてことはありえなかったから、すごく新鮮で面白かった。
「うん!よかったら来週の月曜日から参加してくれない?」
「もちろん!ありがとう歩ちゃん!」
そういえば優しく微笑んでくれた。