HEROに花束を(完)
今思い返せば、俺はとても無責任なことを言ったと思う。
消毒の匂いが体を包み込んでゆく中、やっぱり俺には無理なんだって確信した。
俺はどんどんと、今までできていたことができなくなる。
きっと取り返した笑顔も消えてゆく。
そんな弱々しい俺を見て欲しくなかった。
そんな頼りない俺には、穂花の悲しみを肩代わりできないと思った。
穂花は強い。
俺は弱い。
心も体も弱い俺のそばにいたら、穂花まで、輝きを失ってしまう。
俺は、そこまで卑怯じゃないんだ。