HEROに花束を(完)

何も喋らない。


何も生まれない。



ただ、お互いを見つめ合う。



心なしか、父の顔は疲れているように見えた。


「わたしは…お母さんみたいにはなれなかった。」


掠れた声でわたしは言った。


「桜みたいな優しい子には、なれなかった。」


父の顔がくしゃっと歪んだ。


今にも泣き出しそうな父親を見て、わたしは何を思ったのだろう。
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