HEROに花束を(完)
聞きたいこと、言いたいことはたくさんあった。
わたしを置いていった理由。
最後の散歩の理由。
お母さんが亡くなった理由。
わたしがどれだけ苦しんだか。
わたしがどれだけ泣いたか。
わたしがどれだけ怒っているか。
だけど、聞いたのはそれだった。
『穂花は、幸せになるんだよ。』
あの日、桜の花びらがあなたの髪の上に舞い落ちた時、あなたは確かにそう言った。
『お父さんも幸せになる?』
そう尋ねたら、お父さんの瞳から涙が一粒零れ落ちた。
『うん。幸せになるよ。』
お父さんはそう誓った。