HEROに花束を(完)
人々はきっと
バスに揺られながらぼうっと窓の外を見つめる。
たくさんの同じように動く通行人たち。
いつもだったらわたしだけどこか違うという違和感を覚えていた。
だけどもしかしたら、規則正しく生活しているように見えあの人たちも、皆、物語の主人公で、わたし以上に複雑な人生を送ってきたのかもしれない。
誰も、見かけだけではわからない。
とても幸せそうに見えた三人家族。
だけど本当はたくさんのドロドロとした感情を抱え、死にたいほど辛かったのかもしれない。