HEROに花束を(完)
まさか、わたしを捨てたあの人から何かを学ぶとは思わなかった。
それでも、
『大切なっ…っ…人の温もりがっ…なくなるってっ…辛いことなんだよっ…っ!』
って言った時の父は本気だったから。
『もうっ、大好きなあの人にっ、っ触れることさえもできなくなるんだっ!ただそっと抱きしめることさえっ…っできなくなるっ…っ。』
そう泣き叫んだ時の父が、本当に母を愛していたって伝わってきたから。
『何があってもっ、喋れなくなってもっ…っ、動けなくなってもっ、その人の温もりさえあればっ、俺はっ、充分なんだっ!』
っ…わたしはもう…っ、充分なんだっ…