HEROに花束を(完)
何事もなく1日が終わり、わたしは部活へと急ぐ。
「歩ちゃん、これ。」
そう言ってカメラのチップを渡す。
「おーどう?できた?」
撮影室の中でカメラをいじっていた歩ちゃんが嬉しそうに顔を上げる。
「うーん、なんか、微妙なんだよなあ。」
わたしはそう言って窓に背をもたげる。
「本当は、桜の写真も撮りたかったんだ。」
「ああー…冬だしね。」
そう言って二人で外を見つめる。
「でも、穂花が撮った動画すごいよかったよ。」
歩ちゃんはそう言ってUSBをコンピューターに繋げる。
「なんか…納得いかないっていうか…。」
自分でも何がしたいのかわからない。
このプロジェクトの為に色々なところに行った。
家からすぐの公園。
潮風が吹く海辺。
自転車で降った坂道。
大きな桜の木がある秘密基地。