HEROに花束を(完)
角を曲がったところで、やっと蓮さんは腕を離してくれた。
涼しい顔の蓮さんを睨むと、おっと!と両腕を上げて肩をすくめるものだから、また腹がたつ。
「意味わかりません。」
「そう怒んないでよ穂花ちゃん。ね?」
そう言ってウィンクされたからたまらない。
「帰ります。」
背を向ければ、
「待って待って!」
と引き止められものだから、わたしはいやいや蓮さんの相手をすることになったわけなのです。