HEROに花束を(完)

「それに、夜盲症は、周りが明るいから気づかない人が多いほど、全然重病には入らない段階なんだよ。」


「だって悠は懐中電灯を!」


「バカな!懐中電灯を持ち歩くなんて、聞いたこともないよ。だいたい、どこいっても明るいでしょう?真っ暗闇なんて、ジャングルにすまない限り日本ではありえないよ。」


「でも視界が狭くっ…っ」


「十代で視界が狭くなることはない。それは何十年も先な話。第一に、1年で進行するような病気じゃないから。5年経ってやっと少し進行したっていうくらいの遺伝子の病気だよ。」


「じゃあっ…!」


わたしは思わず微笑んだ。


「悠は大丈夫なんだ!」


踊りだしたくなるほど嬉しくて思わず立ち上がった。


あまりにも良いニュースすぎて嬉し涙が零れ落ちてくる。


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