HEROに花束を(完)
みんなの好奇心丸出しな視線を浴びながら、わたしは先生の目を見て言う。
「先生、カメラとってきてもいいですか?」
「は、はい?」
クラスが笑いの渦に巻き込まれる。
だけど、わたしは今、その衝動に駆られていたから気にすることもない。
だから悠もあの時、真顔だったのかな…おしりみたいだって思った衝動…
そう考えたら笑えてくる。
「部活のムービーを作りたいんです!」
「今?」
またドッと笑いが沸き起こる。
「今じゃないとダメなんです!お願いします!」
先生をわたしの圧倒で勝ち任し、高校二年の初日早々わたしは教室から駆け出る。
隣の教室の千秋と目があってぎょっとしたような表情をする千秋。
だけどそんなことも御構い無しに、わたしは走ったんだ。
ー悠に、届けたい