HEROに花束を(完)
カーネーション
ーピンポーン
3年ぶりに訪れるレンガ造りの家。
「はーい。」
高い声。
「穂花です。」
そう答えれば、インターフォンからも聞こえる息をひゅっと飲む音。
「…今でます。」
心臓がばくばくと音を立てる。それを抑えるようにぎゅっと握りこぶしを作る。
「…穂花?」
ドアから顔をのぞかせたのは、わたしの昔の大親友。
「や、やっほー。」
わたしから美菜ちゃんにアプローチしたのは3年ぶり。
「あの…さ。」
わたしは鞄から桃色の紙に包まれた小包を取り出す。
「悠に、渡してくれないかな?」
「え、えっ?」
美菜ちゃんは目を見開く。
「どこにいるか、知ってるんだよね?」
花火大会の時の嘘を、責めようとは思わない。
ただ、届けて欲しかった。