HEROに花束を(完)
一件一件、丹念に番号をチェックしながら歩く。
「全然ないよ…。」
降りるところ間違えたかなあ…?
そう思って振り返る。
「まさか…ね。」
そこに王様みたいに立ちはだかるのは、都で一番大きな建物。
さっきからその周りをうろちょろしていたわたしだけれど、なんだか嫌な予感がしてくる。
だって、悠の病気は違ったんでしょう?
だったら…なんで…
恐る恐る白い建物へ近づく。
「52…。」
心臓がばくばくと音を立てている。
ゆっくりと住所番号を確認する。
「っ…っ…。」
ねえ、なんで…悠?