HEROに花束を(完)
「てかさー、」
お姉ちゃんは別に返事は待っていなかったのか話を続ける、
「家でも部屋にこもって何してんのかと思ったらパソコンとずっと向き合ってるし、暇さえあればどっか出かけちゃうし、」
お姉ちゃんはレモンジュースを一気飲みするとはぁーとため息をついた、
「あんた前から人とは関わらなかったけど、最近は関わらないレベルじゃないよ。もう完全シャットアウト。」
「そんなことないし。」
「そんなことある。」
お姉ちゃんに口論で勝てたことは一度もないわたしは押し黙る。
「お母さんも心配してるよー。いっつも友達と出かけるって言ってんのに、千秋じゃないし、悠ちゃんも引っ越しちゃったじゃん?だったら誰なんだろうって。」
お姉ちゃんはハーフアップにした髪をとめていたヘアゴムを外すと、頭を振った。
かすかにシャンプーの香りがする。
「わたしは彼氏じゃないの〜って適当なこと言ってごまかしてるけど。」
「彼氏じゃないし。」
「じゃあ誰?」
「そ、それは…。」
「いつも一人なんでしょ?」
そう言ってお姉ちゃんが目を細めてわたしを見つめてきたとおもったら、少し眉根を下げた、
「穂花…何してるの、いつも…?」