HEROに花束を(完)

「もういいの。」


「はあ?なんでそうなるの?」


お姉ちゃんは表情を曇らせた。


「だって会えないし。」


「会えないんじゃないでしょ。」


「えっ…?」


お姉ちゃんは真っ直ぐわたしを見つめてきた。


「穂花が会わないだけだよ。」


そう言われてぎくっと心臓が跳ねた。


なんでお姉ちゃんはいつも全てお見通しなんだろう。


お姉ちゃんはしばらく押し黙っていた。そしてジュースのキャップを
キュっとしめると、ゆっくりと顔を上げた。


「もし、もしだよ、」


お姉ちゃんは目線を泳がせる。


そして決心したように姿勢を正した。


「もしわたしが悠ちゃんのこと何か知ってるって言ったら、どうす
る?」


わたしは息を止めてお姉ちゃんを見つめた。


ドク、ドク、ドク…


血が脈打つのがわかる。


「もし、悠ちゃんの病気について何か知ってるって言ったら…どうする?」


心臓が破裂するのではないかと思った。

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