HEROに花束を(完)

声がかすれて出てこない。


「お…しえて…。」


お姉ちゃんを食い入るように見つめる。


お姉ちゃんは浅く息を吸うと、「だったらDVD渡しに行くって約束し
て。」


「え…。」


「絶対に会いに行くって約束して。」


お姉ちゃんのいつになく真剣な瞳にとらわれる。


「わ…かった。」


そう答えると、お姉ちゃんは小さく微笑んだ。


「穂花は、悠のことが好きなんだよね。ずっと、ずっと、好きなんだよね。」


「う…ん。」


美菜ちゃんにも聞かれたその台詞。


「そっか。」


そう言ってお姉ちゃんは切なそうに笑った、


「穂花が大好きだから、言いたくなかった。でも、それが逆にあんたを傷つけているんだってわかったから、」


お姉ちゃんはぎゅっとわたしの手を握った、


「教えてあげる。だって穂花、知りたいよね、悠の病気のこと。」


泣きそうになりながら、それでも力強く頷く。


「うん、わかった。」


お姉ちゃんはそんなわたしを見て口元を緩めた。

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