HEROに花束を(完)
わたしが顔を悠の方に向けると、悠は小さく微笑んだ。
「俺のこと、好きになってくれてサンキュ。」
まるで永遠の別れみたいに言わないでよ。
「俺、穂花に出会えてよかった。」
なんで、そんな風に…いうの?
「穂花は本当に優しいから、俺がいなくなっても、くよくよしねえで頑張れよ。応援してる。」
悠はそっとわたしの涙を拭った。
ふわっと香るのは、日向の匂いじゃなくて消毒の臭い。
「本当は…俺が、ずっと穂花を見守ってたかったんだけどなあ。」
そう言って目尻を下げて笑う悠が今にも泣き出しそうな気がして、わたしは大きく深呼吸した。
悠は今頑張っている。強くなろうとしている。
だったら、わたしが励ましてあげないといけないんだ。