HEROに花束を(完)
「なっ、行くよな、穂花?」
そんな時、悠のバカでかい声がわたしの耳に届いた。
えっ…今なんて?
心臓のどくどくが加速する。
な…に…それ…
「穂花?」
「えっ、誰それ?」
「そんな人いたっけ?」
クラスがざわつく。
チラチラとわたしに視線を感じる。
みんなまだわたしの名前も知らなかったんだよね…
そんな人がカラオケなんて…いけないよ。
ねえ、悠?少しは空気を読もうよ?
「ほーのーかっ?」
ぽん、と肩に手が置かれて、ビクッと体を震わす。
骨ばった手が、わたしを離すまいというように、肩を掴んでいる。
恐る恐る顔を上げると、悠の笑顔が間近に見える。