HEROに花束を（完）

未来の君は、笑ってますか

埃をかぶった本を開くと、空気に灰色の粉が舞う。


「ゴホッ、ゴホッ。」


咳き込んで涙目になりながらも目次を目で追う。


「…昨日はここを読んだから…今日はここからか。」


分厚い本の黄ばんだ紙をめくって行く。


知りたいという気持ちが溢れ出てくる。


少しでも助けになりたい。


そう思った時には、わたしは常に図書館に行くようになっていた。


最初は悠の病名が分からなくて、それを調べるために来ていた。


だけど今は、悠の病名が分かったから、それから逃げるのではなく、もっと知って悠の助けになりたいという気持ちから医学の本に手を伸ばしている。