HEROに花束を(完)
*
「…やめろ。」
一年生の廊下、ぼんやりと体育で汗ばんだ手を洗おうと蛇口の水をひねったとき、教室から誰かの声が聞こえてきた。
窓から差し込むのは、春の終わりを告げ、夏の始まりを知らせる、眩しい日光。
特に気にもしていなかったけれど、雑音として耳に流れ込んでくる。
「え?」
「開けるなっつてんだろ!」
「は?どうしたの悠?」
悠という名を聞いて、ああ、あの人か、と思った。
いつだってどこに行ったって常に嵐を巻き起こしている男。
今日は何をやらかしたのかなあ、なんて呑気にぼんやりと考えながら石鹸を握る。
「なにこれ?ラブレターとか?…にしてはでかいけど。」
「とにかく返せ。」
なにやらもめているようだ。
女の子の声と悠の声が行き来する。
「…やめろ。」
一年生の廊下、ぼんやりと体育で汗ばんだ手を洗おうと蛇口の水をひねったとき、教室から誰かの声が聞こえてきた。
窓から差し込むのは、春の終わりを告げ、夏の始まりを知らせる、眩しい日光。
特に気にもしていなかったけれど、雑音として耳に流れ込んでくる。
「え?」
「開けるなっつてんだろ!」
「は?どうしたの悠?」
悠という名を聞いて、ああ、あの人か、と思った。
いつだってどこに行ったって常に嵐を巻き起こしている男。
今日は何をやらかしたのかなあ、なんて呑気にぼんやりと考えながら石鹸を握る。
「なにこれ?ラブレターとか?…にしてはでかいけど。」
「とにかく返せ。」
なにやらもめているようだ。
女の子の声と悠の声が行き来する。