HEROに花束を(完)


友達がいなければ傷つくこともない。

違う?


「俺はただ良かれと思って…!」

「それは悠だからっ…悠はわたしのこと何も知らないじゃん!なのに勝手に踏み込んでこないでよっ!!!」


自分でも驚くくらい大きな声を出した。

カラオケボックスの中から聞こえてくるくぐもった歌声が頭でこだまする。

二人だけの異様に静かな空間。

こんなに大きく叫んだのなんて…あの日ぶりだ。

悠のせいだ。

全部全部悠のせいだ。


おもいださせないでよっ…


悠の瞳が揺れた。

まるで泣き出す前の子供みたいに歪んだその顔を見て、

わたしは下唇を噛み締めた。

悠はたくさん友達がいるじゃん…もう、構わないで。


わたしの今までの生活をかえしてっ…
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