HEROに花束を(完)
「悠ー?まだー?」
カラオケボックスの中から出てくる女子。
わたしはそれを合図にまっすぐにカラオケ店を出て行く。
なんでかわかんないけどすごく虚しくて、
自分から逃げたのにとても寂しくて、
そんな自分がわからなくて泣きたくなった。
友情なんて飾りに取り憑かれている人が嫌いだったはずなのに、こんなにも苦しいのはなぜ?
自然と歩く速度が速くなる。
自分の気持ちから逃れるように、速く、速くって心が急かしている。
目の前には赤信号。
もどかしさに余計目尻が痛くなる。