HEROに花束を(完)
悠のせいでわたしはおかしくなっている。
避け続けてきた気持ちが溢れ出してきているのも、全部悠に会ってから。
悪い自分がどんどんさらけ出されているようで怖い。
もう、やめてよっ…!!!
青信号。
わたしは零れ落ちそうな涙を抑えるように瞬きをしながら走り出す。
だけど、家の桜の木々が脳内でフラッシュバックして、そのまま停止した。
帰れない…
隠してきた思いが飛び出してきそうで、怖くて、帰れないよ…っ
カバンをさっきよりも強く、強く、抱きしめる。
まるでそうすれば自分が守られるかのように、顔をカバンに埋める。
笑顔が嫌い。
ずっと隠してきた気持ちが、途端に溢れ出す。
ずっと避けてきた自分の本当の思い。
知りたくなかった醜い自分。
見たくないっ。
知りたくないっ!!!