HEROに花束を(完)
同級生
入学四日目。
わたしは一人、今日も桜の木の下で空を見上げている。
今日の雲はうさぎの形。
わたしはノートを開く。
空想の男の子は、うさぎは好きなのかな。
桜の花びらが肩に舞い落ちる。
桃色の花びらをを広げた桜はとっても綺麗。
まるでお姫様みたい。
「君は、お姫様を待ってるの?」
小さく心の君に聞いてみる。
ふと顔を上げれば、校舎の中からきゃっきゃと笑い声が聞こえる。
あの輪の中に、わたしは入れない。
自分は何か違うから。
そよ風が吹くと、わたしのくせ毛の髪を舞い上げる。
髪をひと束とって光にかざすと、薄い茶色に見える。
男の子の髪も、柔らかいチョコレート色。
空想の君も、昨日奇跡のように見つけた彼も、髪の色は同じなんだね。
やっぱり運命なのかな。