HEROに花束を(完)
「サンキュ。」
悠はそう言うと、今日初めての優しい笑顔を見せた。
そして、わたしの手を握りながら、岸に腰を下ろした。
わたしもつられて彼の隣に座る。
「穂花の考えてること、全部教えてよ。友達がいらないのも、全部教えてよ。俺、穂花のこと知りたい。」
悠はゆっくりと振り返ると、わたしの瞳をまっすぐと見つめた。
「ダメ?」
わたしは静かに首を振る。
「あのね…」
涙を飲み込んで、同じように彼の黒い瞳を見つめる。
「友達っていうのは…自分が孤独を感じないように…作るものだって思うから…」
こんなこをと口に出すのは初めてだ。
心のうちのどろどろとした部分を見られるんだ。
「…ねえ、嫌いにならない?」
思わずそう尋ねた。