HEROに花束を(完)


「わたし徒歩通学だから一緒に行けないけど、また明日ね!」

そう言って千秋さんが校門の前で手を振る。

「ばいばーい!」

同じお弁当を食べる仲間の優しそうな子もニコッと笑う。

他にも三人くらいがばいばーいって挨拶をしてくれた。

それがもう泣けそうなくらい新鮮で嬉しくて、わたしはしばしそこに立ち尽くしていた。


「穂花、よかったな!」

そう言ってくしゃって笑うのは悠。

いつの間にか隣に立っていた。

「うん!」

ニコッと笑うと、悠がパッと目を逸らした。

「お前この頃よく笑うようになったな。」

「そうかな。」

「おう。」

そう言ってなぜかいきなり早足になる悠。
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