HEROに花束を(完)
桜の木々が青い時期
雲ひとつない空の下、わたしは額に滲む汗をぬぐって学校への道を急ぐ。
「もう、朝からなんでこんなに暑いの…。」
ベトベトで気持ち悪いったらありゃしない。
そんな時、道路の向こう側から、
「あー!ほのかああああああ!」
奇声をあげながら抱きついてくるのは他でもなく、
「千秋ちゃん、おはよう。」
「おはようって、そんな朝からかわいい声出さないでー!うちはそれどころじゃないんだからーー!」
「ふふふ。」
「ああーもう!そんなかわいい顔されたら危機感なくなるじゃん!」
「危機感?」
腕にべったりとくっつきながら歩く千秋ちゃんに尋ねれば、
「宿題やってないのーー!」
「またあ?」
「助けて!」
「はい、はい。歩きながらでもうつしたら?」
そう言ってプリントを渡せば、
「やっぱりうちの穂花はサイコー!」
と言って、また抱きついてくるのであった。