HEROに花束を(完)
教室にたどり着けば、
「おはよう穂花〜!」
って、みんなの笑顔で迎えられる。
「おはよう。」
そう返せば、
「朝から可愛すぎい!」
なんてお世辞を言われる。
席は席替えをしたから窓際の後ろから二番目。
カバンを机に置いて、開け放した窓から外を見れば、
青々とした葉を身にまとった桜の木々が見える。
その木々に向けられている、他の視線を感じ振り返れば、
一番前の窓際の席に座っている悠も、窓の外を眺めていた。
なんだかその姿が少し寂しそうに見えて、
「悠…?」
と、声をかければ、
「おー、おはよ穂花。」
と微笑んで手を挙げる、いつもの彼がそこにいた。
「授業始まるぞー。」
先生の声で顔を上げた時には、
悠はまたいつものように楽しそうにみんなと笑っていた。