HEROに花束を(完)

ぼうっとしているうちにHRは終わり、移動時間だ。

「穂花〜、体育いくよー。」

千秋ちゃんに腕を引っ張れて生徒で溢れる廊下を進む。

「6月ってなにもないよねー。」

千秋ががさつに髪をぐしゃぐしゃと掻き回しながら愚痴った。


「うん…そうだね。」


わたしも小さく頷く。


「早く夏休みにならないかなぁ。」

「補習にならないように頑張ってね。」

そう伝えれば、

「うっわ。最悪。変なこと思い出させないでよー!」

と言ってバシッと背中を叩かれた。
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