HEROに花束を(完)
確かに、6月はこれといった行事はない。
「早く着替えてー!穂花ー!」
だけど、
「はーい。」
みんなは大切なあの日のことを忘れてるよ。
「鬼先生なんだから遅れたくないよー!」
「わかってるってばー!」
わたしは体操ズボンをはくと急いで千秋ちゃんの後を続いた。
二人でぎりぎりで体育館に滑り込む。
「はあ、はあ、もう、穂花ぼうっとするんだからあ!」
「ごめん、ごめん。」
「ほんっとに、穂花マイペースだよね。」
乱れた呼吸を整えながら顔をもたげると、コートを挟んだ向こう側に、バレーボールのサーブをしている悠の姿を見つけた。