HEROに花束を(完)
意外とやるじゃん。
そうやって心の中で言う自分は完全に悠を見下していたようだ。
だってバカだしくだらない話しかしないしすんごくマイペースな悠なんだもん。
『かっこいい』からは程遠い彼だから、運動ができる時のギャップはすごい。
「おーい!」
千秋ちゃんの手が視界を遮り、わたしはムッとして振り返る。
「今のは怒ったんでしょ?最近わかるんだよねー。」
千秋ちゃんはそう言って笑う。
それがなんだかすごく嬉しくて、思わず微笑む。
「てかとにかくあんた、上の空すぎ!誰?好きな人は!」
「へ?」
わたしは思わず素っ頓狂な声を出してしまう。
好きな人…?!な、なんで急に…
好き、なんて、わたしからは程遠い存在。甘くてふわふわしてるそれは、わたしとは無関係。