HEROに花束を(完)



「それにしても、お前らほんっとうるせーな。」


そう言ってけらけら笑う悠を横目で睨む。


「千秋ちゃんがうるさいだけだし。」


そう拗ねたように言えば、悠はわりいわりいと言いながらわたしの髪をぐしゃっと撫で回した。


「ちょ、やめてよ!」


そう言ってし返すように悠の髪を背伸びしてぐしゃっとすれば、

あまりの柔らかさに驚く自分がいた。

わたあめみたい…


「相変わらず髪柔らけーな。」


だけどそう言ったのは悠で、なんだか嬉しそうに口角を上げている。


そしたらなんだか恥ずかしくなって、わたしは悠を押し返して歩きだした。


「置いてくなー。」


そういって悠がついてくるのを知っているから。
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