千年前の君を想ふ
御殿に着くと、両開きの門を2人の門番が押し開けた。
ちなみに、正面玄関的なところは、身分が高い人とかが使うので、私は脇の門から入った。
義政さんの後をついて行くと、広めの南庭に出た。池もあるし、それに橋もかかっている。
典型的な寝殿造って感じだ。
下駄を脱いで、吹きさらしの廊下を歩くと、途中で部屋に通される。
「すまぬ、母屋は身内のものでな。ここで休まれよ。この者に世話をさせよう。」
指名された女性はゆっくりとお辞儀をして、私に微笑みかける。
「ふく、と申します。」
「あ、輝夜です。」
自己紹介をしたのを確認して、義政さんは母屋へ向かう。
「では、明日また来よう。ふく、頼んだぞ。」