千年前の君を想ふ
ふくさんは私の十二単を脱がせて、髪を解き、櫛ですいてくれる。
まさに至れり尽くせり、という感じで何だかくすぐったい。
「ではどうぞ、ごゆるりと。」
「ありがとうございます、ふくさん。」
ふくさんはびっくりしたように私を見て「ふ、ふくとお呼びくださいませ!」と慌てたように言う。
「姫君が使用人に敬称をつけてはいけません。」
「え…あぁ…すみません、分かりました。」
「いぇ…では、日が昇りましたら支度のお手伝いに参ります。」
ふくが去った後の、灯りを消された薄暗い部屋に、月の光が差し込む。
(夢、みたいだな…)
夢か現か、平安時代にタイムスリップしてしまった(?)私は、深い眠りに落ちた。