千年前の君を想ふ
やなヤツ、やなヤツ!
「……んっ…」
御簾(みす)の隙間からほんのり明るい光が差し込もうとしている時間に目が覚めた。
見慣れない天井。
(そっか、昨日は…)
タイムスリップ(?)してしまった昨日のことを思い出し、もう一度頭の中で整理をする。
何度考えても、最後に行き着くのは「元の家に帰れるのか」ということだ。
身体を起こすと同時に、お腹の虫が「グウゥゥ」と主張した。
(どんな状況でも、やっぱりお腹は減るのね…)
すると御簾の外側から、
「おはようございます、輝夜様。朝餉(あさげ)をお持ち致しました。」
と、ふくの声が聞こえたので、返事をして朝食を運んでもらう。
食べ終わった後、ふくに手伝ってもらいながら、着替えをした。さすがに十二単は正装だし、重いし、ということで、何枚か抜いて着用した。
暑苦しいのは変わらないのだけど。