千年前の君を想ふ


「おい女、その薬とやらは本当に効くのであろうな?愚弄するのならば、ただでは置かぬぞ。」


疑いの目を私に向け続けるのは、義政さんの隣りに座っている青年だ。



「あぁ、輝夜殿には紹介がまだであったな。これは、我が弟の敦政じゃ。」


義政さんが紹介してくれたので、「どうも…」と会釈するが、彼はフンっとそっぽを向いてしまった。


(な、何なのこいつ…!!)



まさかの態度にイラッとしていると、義敦さんが苦笑する。


「申し訳ない、輝夜殿。こやつもまだ未熟でのぅ…」


「いえ…どうぞ。」

薬を差し出すと、義敦さんは口に含む。



「これを1回2錠、1日3回飲んでください。あと、もう少し暖かくしてからお休みになってください。治るものも治りませんから。」



「そうかそうか…かたじけない、輝夜殿。」


「いえ…それでは、私は戻った方がよろしいですよね?」


答えたのは義政さん。

「あぁ。本当にありがとう。輝夜殿もゆるりと休まれよ。」



それに続けて、敦政と呼ばれた男が口を開く。


「ふんっ、さっさと記憶を取り戻し、とっとと出ていくがよろしかろう。」




(ムッカ〜〜〜!!)



部屋を出た後も、そのイライラは収まることはなく…




「ふく!あの敦政とかいう人はいつもあんな感じなの!?」



「い、いえ…使用人にもお優しい方ですので、あのような態度をとられているのは初めて見ました…」




(私への態度は使用人以下か!!)





(やなヤツ、やなヤツ、やなヤツ!)
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