千年前の君を想ふ
その時私は、正座で痺れていた足を放り出し、手を後ろについて、お世辞にも行儀の良いとは言えないポーズをしていたのだ。
(こ、こんなところをコイツに見られるなんて…!)
「…おい、声に出ているぞ。」
「えっ…す、すみません。」
(まじか、声に出てたのか…)
「…はぁ、まぁ良い。お主に見せたい物がある。ついて参れ。」
「は、はぁ。」
私が気の抜けた返事をすると、敦政はギロリと私を睨んだ。
「早うせんか」
「は、はいっ!」
(こ、こわぁ〜そんなに怒らなくてもいいじゃん…)
部屋を出ると、ふくが驚いて私たちを見た。
「ど、何処へ行かれるのでしょうか?」
質問を投げかけられ、敦政がふくに耳打ちをすると、ふくはフワッと微笑んだ。
「では、夕餉(ゆうげ)のお時間になりましたら、お呼び致します。」
「あぁ、頼んだ。」
……!!??
あ、敦政が微笑んでる…!!
顔立ちが綺麗な分、背景に薔薇でも咲きそうなくらい神々しい微笑みだ。
私が驚きのあまり固まっていると、先にスタスタと歩いていた敦政が振り返り、
「何をしている。早うせんか。」
そう呼びかけられてハッと我に返り、彼の後を追った。