千年前の君を想ふ
結構上に登っているだろう。池の中の鯉が豆粒くらいの大きさに見える。
(ひぃ〜〜高いよ…)
敦政は枝の根元の方で胡座のような格好で座り、左腕で幹に掴まって、右手で私を支えた。
「私の膝の上に座るが良い。」
「へ!?あ、ありがとうございます?」
膝の上に座ったはいいが、高くて怖いので、私は敦政の着物を握って小さくなっていた。
「おい、顔を上げて後ろを見よ。」
「え…?」
言われた通り、恐る恐る後ろを振り返った。
「う、わ……」
目が開けられないくらい眩しい夕日だった。
きっちり並んだ家々や、行き交う人々を染め上げていた。
「綺麗……」
反射的にそう呟いた。