千年前の君を想ふ
「……もしかして、あんなに急いでいたのって、私にこの景色を見せたかったから…ですか?」
「お主が知るべきことではない。」
そういってそっぽ向く敦政の耳が赤いきがするのは、夕日のせい…?
そんな彼にクスッと笑ってしまった。
「それでも……、連れてきてくださってありがとうございます。」
その言葉を聞いて彼は微かに目を見開き、またそっぽを向いた。
「……敦政、と呼べ。」
「え?」
「敬称など堅苦しい。敬語もやめよ。」
「は、はい……じゃなくて、うん。」
すると、敦政はフッと笑った。
「それで良い。」
夕日に照らされた彼の微笑みは、何だかとても輝いて見えた。