千年前の君を想ふ
すれ違い
木から降り、敦政に部屋へと送ってもらった私は、未だにさっきの事が頭から離れないでいる。
「笑顔、綺麗だったな……」
「輝夜様…?」
「うっひゃあ!?」
慌てて振り返ると、御簾の向こう側からチラッと顔を覗かせるふくがいた。
「あぁ、すみません!な、何か…?」
今の、聞かれてたのか…?と思いながら用件を聞くと、ふくがそっと紙を私に手渡した。
「敦政様からでございます。」
「えぇっ!?」
(な、何なの!何の罠!?アイツが手紙を私に書いたってこと!?)
恐る恐る紙を開くと、手紙ではなく、短歌らしきものが入れられていた。
(た、達筆過ぎて読めない…!)
「ふく、読んで頂いても良いですか?」
「え、えぇ。」
戸惑いながらも、ふくは一つ咳払いをしてから読み始めた。