千年前の君を想ふ
きみがため
紅(あか)の近きに
率て行くも
我が腕からは
遠い月かな
【意味1】
あなたのために夕日の近く(月に届きそうな高さ)まで連れて行きましたが、やはり私(たち)の位置から月を捕まえることは出来ませんね。
【意味2】
あなたのために夕日に近いところに連れて行きましたが、私の腕の中にいるのに、あの月のように遠くに居るように感じます。
………???
ふくはとても感動してるみたいだけれど、私にはさっぱり分からない…
何しろ、平安時代の人間じゃないしね。
「輝夜様、返歌はどうなさいますか?」
ふくは目を輝かせて私に尋ねるが、そんな期待を込めた目をされても…
そもそも歌の意味が分かってないからなぁ…
「えっと…ふく?」
「なんでしょう?」
「私、歌などを貰ったことがないですし、決まりも分からないので、良かったら教えてくださいませんか?」
「…輝夜様のようなお美しい方が歌を頂いたことがないのが不思議ですが……わかりました、お手伝いさせていただきます。」
(やったぁ!)
「では、早速ですが、返歌は前向きな意味でございますか?」
「ええと…はい!」
(楽しかったです、みたいな意味を送るかってことかな?)
この時、私は気づいていなかったのだ。
前向きな意味の返歌を送ることがどういうことなのかを…